損益の計算における発生主義・現金主義・実現主義の違いとは       2022-5-18

   企業会計では、一定の会計期間の損益を計算することを『期間損益計算』

と呼びます。

3月31日が決算日であれば、前年の4月1日から3月31日までの1年間が会計期間と

なり、その1年間の会社の収益から費用を差し引くことで期間損益を求めることが

できます。

このとき、収益と費用を計上するタイミングによって『発生主義』『現金主義』

『実現主義』という考え方が存在します。

企業の会計担当者にとって、会計の基礎となる3つの概念について解説します。


現金主義はわかりやすい一方で弱点もある

   一定の会計期間でどれだけ収益があったのか、どのくらい費用がかかったのかを知ることは、

会社を運営していくうえで欠かせないことです。

会社には原則として、永続的に営業活動を行っていくという前提があります。

したがって、企業会計ではある一定の会計期間で区切り、その期間の損益を求めることで、

その一定の会計期間の実績を表すのです。

会計期間は、決算日までの1年間で区切ることがほとんどですが、四半期(3カ月)や半年で区切ることもあります。

この会計期間の損益について、日本の会計基準では、収益を『実現主義』、

費用を『発生主義』で計算することを原則としています。

会計基準は、課税所得を計算する際の収益認識の基本にもなるので、会計担当者は実現主義と発生主義、

そして『現金主義』とはどういったものかを理解しておく必要があります。


まず、長い会計の歴史のなかで、最初に生まれたのは現金主義でした。

現金主義は、その名の通り、現金のやり取りが発生した段階で損益が確定するという考え方です。

たとえば、30万円の商品を仕入れて、50万円で売った場合に、仕入れのタイミングで仕入れ値の30万円を計上し、

売ったタイミングで売上金の50万円を計上します。

とてもシンプルでわかりやすい考え方ですが、前払いや後払いの際に、正しく損益計算が行えないのが弱点です。

30万円で仕入れた50万円の商品を後払いで売り上げた場合、現金がまだ手元にないため、50万円を計上することができません。

そこで、現金のやり取りに関わらず、取引が発生した段階(収益や費用が発生した段階)で計上を行う

発生主義という考え方が生まれました。

発生主義は、仕入れ値や経費、売上金が確定した段階で計上するため、前払いや後払いにも対応することができます。

前述の例では、後払いであっても50万円の商品を売った段階で売上金を計上できることになります。

また、発生主義を別の言い方に置き換えると、現金のやり取りに関係なく、

『経済的な価値が発生して消費されたタイミング』で計上するやり方だといえます。

たとえば、商品を製造するための機械を50万円で購入した場合、現金主義では購入した段階で経費として50万円を計上します。

しかし、今後何年もその機械が商品を作り出すことを踏まえると、経済的な価値が発生して、消費されたタイミングは

毎年訪れることになります。

そこで、発生主義では『減価償却』という方法で費用の計上を行います。

この減価償却が発生する資産のことを減価償却資産と呼び、一般的には時間の経過によってその価値が減っていく

機械設備や器具、備品などが該当します。

減価償却では、これらの減価償却資産の取得に使った費用を、一定の方法によって各年分の必要経費として配分して

手続をします。

たとえば、機械の耐用年数が5年であれば、1年ごとに10万円ずつ、5年に渡って減価償却費として計上していくことに

なります。

発生主義で経理処理をすれば、一見問題なさそうに思えるかもしれません。

ところがすべてに発生主義を適用すると、収益に関しては『未実現の収益を計上してはいけない』という

企業会計原則のルールに抵触してしまいます。つまり売上の立っていない収益(実現されていない収益)は、

その会計期間の収益としては認められないということです。

そこで、日本の会計基準では、収益の計上に関して実現主義が採用されています。

実現主義は、収益の計上日は商品の販売やサービスの提供を実現した日となります。

具体的には「販売した日」や「提供した日」です。

たとえば、60万円の商品の発注を受けて、20万円の手付金を受け取ったとします。

このとき、発生主義であれば60万円をそのまま計上しますが、実現主義では手付金の20万円を前受金として計上します。

商品を取引先に受け渡した時点で60万円の売上を計上し、手付金20万円(前受金)との相殺と、

残りの40万円は売掛金として仕訳します。

このように、より正確な期間損益計算ができるのが、実現主義の特徴です。


 前述した通り、日本の会計基準では、収益は実現主義、費用は発生主義で計上します。

それぞれを計上するタイミングをよく理解して、間違いのないように会計処理を行っていきましょう。

 

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 中小企業における法人税の特例と適用期間の延長について       2022-5-11

   

   現在、普通法人の法人税の税率は23.2%に定められています。

一方、規模の小さい中小企業は特例として『軽減税率』が適用され、

800万円以下の所得に関しては、法人税率が15%に設定されています。

この特例を『中小企業者等の法人税率の特例』といいます。

2021年度の税制改正では、中小企業者等の法人税率の特例の期間が2年間延長

されることになりました。

今回は、特例を受けることができる中小企業の適用範囲と併せて解説します。


軽減税率の特例を利用するための条件

中小企業者等の法人税率の特例は、租税特別措置法によって定められた中小企業が対象です。

法人税は、年間の所得に対して課せられます。

この特例により、中小企業は800万円以下の所得に関して、15%の軽減税率が適用されることになります。

この措置には期限があり、2021年度の税制改正で延長が決定しました。

改正前の『2021年3月31日までに開始する事業年度』から、2年延長され、

『2023年3月31日までに開始する事業年度』までとなります。

特例の対象はあくまで中小企業のみで、普通法人はこれまでと同じ、23.2%の法人税率です。

この特例を受けるためには、原則として『資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人』であることが条件になります。

つまり、上記の条件を満たす企業が中小企業だと言い換えることもできます。

ただし、各事業年度終了の時において、大規模法人(大法人)が一定の株式を保有しているなど

大企業の支配下にある企業は、中小企業であっても、特例を受けることはできません。

ちなみに、大法人とは、資本金または出資金の額が5億円以上の法人のことを指します。


特例の要件から省かれる適用除外事業者とは

 また、過去3年の平均所得金額が15億円を超える中小企業は、15%の軽減税率ではなく、

19%の本則税率が適用されることになります。

この企業のことを『適用除外事業者』と呼びます。

国税庁では、『その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度を基準年度とし、

その年度の所得金額の合計額を各基準年度の月数の合計数で除し、

これに12を乗じて計算した金額が15億を超えている場合』を適用除外事業者と定めています。

ただし、設立後3年を経過していないなどの一定の事由がある場合には、一定の調整を加えた金額により判断されます。

この適用除外事業者に該当せず、大法人の支配も受けていなければ、中小企業と判定され、特例を受けることができます。


まとめると、中小企業以外の普通法人は、所得の区分がなく、一律23.2%の法人税率が課せられます。

また、大法人との支配関係がない中小企業は、800万円以下の所得に関して15%の税率となります。

また、過去3年の平均所得金額が15億円を超える適用除外事業者は、

800万円以下の所得に関して19%の法人税率で計算することになります。

なお、800万円を超える所得に関しては、どちらも普通法人と同じ23.2%の法人税率になります。


法人税は、事業の運営に関わる大事な税金です。

近年は大企業が税制の優遇策を受ける目的で、減資を行って中小企業になる動きが相次いでいます。

しかし、中小企業化は、税負担が軽くなるというメリットと、コストの削減や資金調達がしづらくなるというデメリットの両面があるので慎重に検討しましょう。 

 

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赤字でも納税し続けなければならない?事業を行う法人にかかる『税金』の種類        2022-4-13

   

  法人には、『法人税』『法人住民税』『法人事業税』など、

さまざまな税金がかかります。

法人税は赤字や課税所得がない場合は原則発生せず、事業を行っていない場合には

法人住民税が免除対象となることもあります。

今回は法人格を有することでかかる税金について紹介します。


法律上『法人格』を有する間は営業利益が赤字でも納税は続く

   法人を立ち上げるときには、『登録免許税』などが課税され、定款をつくって登記しなければならないなど、

さまざまなステップがあります。法人は、事業を運営する目的で設立しますが、何らかの事情で廃業せざるを得ない

場合も出てきます。たとえば、一人会社で社長が病気になったり、

別事業を優先することになったり、そもそも事業がうまくいかないので辞めるといったケースも考えられます。

完全に事業をたたむ場合には、法人を解散するという選択肢もありますが、

期間を空けて事業を再開する見込みがある際は、『法人格』を残したまま、休業するという選択肢もあります。

そのような場合、法人にかかる税金はどうなるのでしょうか。

 

 法人になると、法人税などのほか、『消費税』や『法人事業税』、『固定資産税』なども納めることになります。

これらの税金は、基本的に課税対象額があれば発生します。

つまり、基本的に課税対象額がないときには税金が課税されない仕組みというわけです。

ただし、休業時でも毎年の税務申告は必要になります。

休業時には法人税確定申告書に『休業中』と記載し、申告所得ゼロで提出すれば、法人税は発生しません。

また、休業中にかかった費用がなければ経理処理は不要ですが、休業中でも会社を維持・存続させるために

必要な費用が発生した場合は経理処理する必要があります。

この申告を2期連続で期限内に行わなかった場合は青色申告承認の取り消しとなります。繰越欠損金の適用も受けられません。

そして『法人住民税』は、事業が赤字であっても、納税する義務があります。


法人住民税とは? 会社休眠で均等割の納税義務の必要性

 『法人住民税』は、事業所のある地域を管轄している自治体に対して、法人が納めるべき地方税のことで、

『均等割』と『法人税割』から構成されています。

●均等割 : 全ての法人に納税義務があり、法人の資本金等の額と従業者数などによって、年税額が区別されます。

赤字であっても納税しなければなりません。

●法人税割 : 法人税の金額をもとに算出され、課税される税金で、法人税額が多いほど額が大きくなります。

 

 株式会社を持つ場合には、定期的に『役員変更登記』などを行う必要があります。これらの登記を一切せず

12年間放置していると、“みなし解散”の扱いになる可能性があります。みなし解散から3年を過ぎてしまうと、

事業を再開しようとした際に、新たに会社設立費用(20~30万円)がかかることになります。

 休業中、赤字であれば法人税はかかりませんが、先述の法人住民税など一部課税される税金はありますし、

休業中にも必要な手続きは発生し続けます。

休業を考える際は、その点を考慮して慎重に判断しましょう。

 

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労働契約における基本的な禁止事項を確認する   2022-3-23

   

   労働契約上、使用者が労働者を雇用する際には、会社と労働者の間で

『労働契約』を結び、契約書を交わします。

このとき、使用者である会社側には、労働者に不当な待遇を強いることのないよう、

禁止事項が定められています。

もし不正な契約を結んでしまったら、後にトラブルに発展してしまうこともあります。

そこで今回は、うっかり禁止事項に触れる条件を契約書に盛り込むことがないよう、

禁止事項とその目的について確認していきます。


よく知られている禁止事項を紹介

労働契約における禁止事項は、主に4つが定められています。
それぞれについて順番に見ていきましょう。

●賠償予定の禁止

   労働基準法第16条の『賠償予定の禁止』は、労働契約の不履行による違約金や損害賠償金の請求額を

前もって定めることを禁じるものです。

具体的には、従業員に対して、退職した場合に違約金を支払わせる約束をしたり、

業務上のミスで会社に損害を与えた場合の損害賠償金の額を決めておいたりすることが、

『賠償予定の禁止』に該当します。

しかし、この禁止事項は、違約金や賠償金の額をあらかじめ労働契約に盛り込んではいけないというものであり、

実際に会社へ損害を与えた従業員に賠償請求を行うことは法律違反には当たりません。

また、研修期間や資格取得期間中に従業員が辞めてしまった場合に費用の返還を求める約束をしておくことも、

賠償予定の禁止に当たらない可能性があります。

●前借金相殺の禁止

   労働基準法第17条の『前借金相殺の禁止』は、後の賃金で返済することを条件に従業員へ賃金を前貸しして、

前貸し分を勝手に毎月の給与から差し引くことを禁じたものです。

また、前貸しを条件に、労働を強制したり、退職を妨げたりすることも禁止されており、

そのような条件を労働契約に盛り込んでもいけません。

労働基準法第24条では賃金の支払について、

賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を毎月1回以上、一定期日を定めて支払わなければならない

と定めていることも、給与から借金を差し引くことを禁止する根拠になります。

ただし、前貸しそのものは禁止されておらず、労働者が使用者に拘束されないことが明白の場合に限り、

金銭を融通することは問題ないとされています。


強制的な貯金や組合活動の禁止も法律違反

●強制貯金の禁止

   労働基準法第18条の『強制貯金の禁止』は、労働契約を結ぶ際に、従業員に貯蓄を強制させたり、

貯蓄金を会社が管理したりすることを禁じたものです。

たとえ盗難や従業員の浪費を防ぐなどの理由があったとしても、貯金通帳や印鑑を会社側が預かったり、

管理したりしてはいけませんし、労働契約にこれらの規定を盛り込むことは禁止されています。

また、社員旅行の積立などの理由があったとしても、会社側が指定した銀行に口座を作らせて、

預金の積立を強制してもいけません。

強制貯金の禁止に該当しないのは、従業員の任意で積立が行われる場合です。

給与から社員旅行などの費用として、給与から毎月一定額が天引きされる旨の労使協定が結ばれている場合は

強制貯金にはなりません。

ただし、用途不明な天引きはトラブルのもとになるため、労使協定を結ぶ際には、

従業員にその内容をよく説明する必要があります。

●黄犬契約の禁止

   憲法第28条と労働組合法第7条第1号に定められる『黄犬契約の禁止』では、

労働者が労働組合に加入しないことや、労働組合から脱退することを条件とした労働契約の締結を禁止しています。

会社側が従業員に対して労働組合への不加入や脱退を強制することになり、労働組合の団結権を侵害することになるのが

禁止の理由です。
また、労働組合の結成や組合活動を禁止したり、労働組合への加入を妨害したりすることも、同じ不当労働行為にあたります。


労働契約を結ぶ際は、これら4つの禁止事項をはじめ、労使双方の利益・立場を守るためのさまざまな禁止事項があります。

知らず知らずのうちに、労働契約に盛り込んでしまわないよう、注意しましょう。 


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2022年4月から中小企業でも義務化! パワハラ防止法   2022-3-16

   

   2020年に、パワーハラスメントの防止措置を企業の義務とする、

改正労働施策総合推進法が施行されました。

この法律のなかの『パワハラ防止の措置義務』については、これまで大企業が対象

でしたが、2022年4月からは中小企業も義務化されます。

すでに、職場におけるセクシュアルハラスメントについては、男女雇用機会均等法に

よって事業主に防止措置を講じることが義務づけられていますが、

今後は、セクハラと併せてパワハラについても防止策を講じていくことになります。

“パワハラ防止法”とも呼ばれるこの法律の対応策について紹介します。


急増するハラスメントに対処する法改正

   厚生労働省が発表した『令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況』によると、

2020年度の総合労働相談コーナーへのいじめ・嫌がらせの相談件数は7万9,190件で、民事上の個別労働紛争の

相談件数のなかで9年連続の最多となりました。

このような状況を鑑みて、職場におけるパワハラの防止を強化する目的で、改正労働施策総合推進法、

いわゆる“パワハラ防止法”が施行されました。

パワーハラスメントの雇用管理上の措置義務について、中小企業はこれまで努力義務でしたが、

2022年4月からは義務化され、必要な防止措置を講じなければいけません。

パワハラ防止法では、パワハラの定義についても『(1)優越的な関係を背景とした、

(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により、(3)就業環境を害すること』と定めています。

(1)は、社長や上司など地位が上であることを利用し、従業員が抵抗や拒否ができない状態であることを意味したり、

逆にベテランの部下が新米の上司をいじめることも該当します。

(2)は明らかに業務に必要ない言動のことを指します。

また、(3)は従業員が身体的または精神的に苦痛を感じ、業務に支障が出ている状態のことです。

この(1)~(3)の全てに当てはまる場合が、パワハラになります。

客観的に見て、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、パワハラに該当しません。

パワハラの種類はさまざまあり、代表的な『殴打や足蹴り』などの“身体的な攻撃”や

『人格否定』などの“精神的な攻撃”のほか、『仕事から外す』や『私的な雑用の強制』などもパワハラに該当します。

また、『継続的な監視』や『プライベートなことに必要以上に立ち入る』なども“個の侵害”といって、

パワハラになるので注意が必要です。


適正な措置を行い、パワハラの根絶を目指す

  パワハラ防止法に基づき、中小企業は、特に以下の措置に積極的に取り組んでいく必要があります。

(1)事業主の方針の明確化およびその周知・啓発

   職場におけるパワハラに関する方針を明確化し、周知・啓発を行います。

どのような内容がパワハラに該当するのか、また、実際にパワハラを行った者に対してどのような対処を行うのかなどを

就業規則等で規定し、従業員に周知・啓発します。

(2)相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

   社内にパワハラに関する相談のための窓口を設け、窓口の担当者がパワハラの内容や状況に応じて

適切に対処できるようにしておきます。

また、相談窓口を設置したことを従業員に周知しておく必要もあります。

(3)職場におけるパワーハラスメントにかかる事後の迅速かつ適切な対応

   パワハラに関する相談が寄せられた際には、まず事実関係を迅速に確認し、パワハラの被害者と行為者に対して

措置を行う必要があります。

また、再発防止に向けた措置も講じることが義務付けられています。

(4)併せて講ずべき措置

  (1)~(3)までの措置と併せて、相談者や行為者のプライバシーの保護に取り組みましょう。

また、相談したことで、不利益な取扱いを行ってはならない旨を明文化し、従業員に周知する必要があります。


   上記のほかにも、コミュニケーションの活発化や目標の適正化などに取り組み、

ハラスメントが起きづらい環境づくりを進めていくことが求められています。

パワハラやセクハラは人の尊厳を傷つけるだけではなく、貴重な人材を流出させてしまうリスクもはらんでいます。

早めにパワハラ防止法に基づいて対策を講じ、職場におけるハラスメントの根絶に注力しましょう。


※本記事の記載内容は、2022年2月現在の法令・情報等に基づいています。

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 会社の経営状況を示す『財務三表』の目的と重要性  2022-3-10

   会社の財政状況や経営成績を表す会計資料のことを『財務諸表』といいます。

財務諸表は金融商品取引法上の呼び方で、一般的には『決算書』とも呼ばれます。
この財務諸表のなかでも、『損益計算書』『貸借対照表』『キャッシュフロー計

算書』は『財務三表』といい、特に重視されています。

財務三表の仕組みを覚えて定期的に確認することで、会社の経営状態を把握する

ことができます。

将来的な事業計画にもつながる財務三表の見方を確認していきましょう。


経営者が覚えておきたい財務三表

   財務諸表には財務三表のほかに、株主資本等変動計算書や個別注記表などがあり、

全ては会社の財政状態や経営成績を利害関係者に開示する際に使用されます。

利害関係者とは、株主や債権者、投資家などを指します。

債権者は、財務諸表によって債権回収に問題がないかを確認できますし、

投資家にとっても、投資をすべきかどうかの判断材料になります。

また、株主はもちろん、従業員や取引先にとっても、会社の成長度合いや収益性を

把握するためには必要なものです。

財務諸表は会社の経営状態を表すための会計資料なので、経営者も会社を指揮していくうえで

理解していなければいけません。

しかし、一度で全てを理解するのは大変です。

まずは、財務諸表のなかでも、最も重要な財務三表の概要を覚えておきましょう。

財務三表は、損益計算書と貸借対照表とキャッシュフロー計算書から成り立っており、

それぞれ表しているものや、見て分かることが異なります。

まず、損益計算書は、会社の収益から費用を引いた『利益』を表しており

会社の一定期間の経営成績が分かります。

「今年はいくら稼いだのか?」「いくら損失が出たのか?」「どのくらい費用がかかったのか?」

を知りたい場合には、損益計算書を見れば把握できます。

次に貸借対照表は、会社が保有している資産から負債を引いた『純資産』を表しており、

会社の財政状態が分かります。

資産には、預貯金や売掛金などの『流動資産』と、建物や器具備品、長期貸付金などの『固定資産』があります。

流動資産は現金化することができますが、固定資産はすぐに現金化ができません。

貸借対照表で負債の額を確認すると同時に、どのくらい現金化して債務の返済に充てられるのかも

確認しておきましょう。


中小企業に作成義務はないが活用できる

 キャッシュフロー計算書は、現金や預貯金などのキャッシュの残高や増減額を表しており、

一定期間、現金がどのような要因で増減したのかが分かります。

キャッシュフロー計算書は、営業活動、投資活動、財務活動の3項目で、現金の流れを表しています。

営業活動は会社の主となる事業でどれだけキャッシュが増えているかを、

投資活動は設備投資や先行投資でどれだけキャッシュが動いたのかを、

財務活動は資金調達や借入金の返済といった財務にまつわる現金の流れを示しています。

このように、キャッシュフロー計算書も損益計算書や貸借対照表と並んで会社の運営には必要なものですが、

中小企業においてはキャッシュフロー計算書に限り、作成義務がありません。

しかし、一定期間の現金の流れを把握することは、資金の活用状況を整理できます。

これにより資金を有効活用でき、事業の安定的な発展につながります。

中小企業であっても、できるだけ作成しておくことをおすすめします。

損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の財務三表は項目も多く、見方を覚えるのはとても困難です。

しかし、財務三表を理解できるようになると、明確に経営状態を把握でき、

経営者として会社の成長度など判断もしやすくなります。

財務三表を読み解くことができないと、経営状態が理解できないまま采配を振るうことになってしまいます。

特に中小企業においては、経営者の会計への理解度がそのまま業績に反映されることも少なくありません。

的確な経営判断を行うためにも、財務三表への理解を深めていきましょう。
  

  ※本記事の記載内容は、2022年1月現在の法令・情報等に基づいています。

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株式譲渡にかかる税金の計算方法と注意点   2022-2-16

    企業同士の合併や買収を意味するM&Aには、

事業の一部または全てを他社に譲渡する『事業譲渡』と、

保有している自社株を買収会社に譲渡する『株式譲渡』があります。

株式譲渡では、実質的に経営権を他社に継承させ、

売り手側は買い手側に株式を譲渡することで売却益を得ます。

将来的に、株式譲渡による事業承継が選択肢の一つになったときのために、

発生する税金についても、しっかりと理解しておきましょう。


株式譲渡で発生する税金の計算方法

    非上場の中小企業がM&Aを行う場合、事業譲渡よりも手続きが簡単で税金の負担が抑えられる株式譲渡が選ばれます。

株式譲渡を行う際、株式の売り手側である譲渡企業の経営者は、買い手側である譲受企業から対価を受け取ります。

経営権が譲受企業に移り、株式を手放した譲渡企業の経営者は、経営からリタイアすることになります。

対価を元手に、また新たな事業をスタートさせるのか、それとも悠々自適なセカンドライフを送るのかは本人の自由ですが、

譲渡によってかかってくる税金のことを忘れてはいけません。

株式譲渡の対価となる株式の譲渡収入には、必ず『譲渡所得税』がかかります。

この譲渡所得税を計算するには、まず正確な『譲渡所得』を算出しなければいけません。

譲渡所得は、株式の譲渡収入から、取得費や売却手数料等を含めた経費を差し引くことで求めることができます。

取得費とは、個人である経営者が、企業から株式を取得する際に支払った払込代金や購入代金と手数料、

購入時の名義書換料など、株式を取得するために必要な経費を指します。

また、売却手数料は、M&Aの仲介会社などに支払う仲介手数料のことで、これらの経費を売却収入から引くと、

下記のような計算式で譲渡所得を算出することができます。

【計算方法】
譲渡所得=株式の売却価格-経費(取得費+売却手数料等)


譲渡益を得た際は忘れずに確定申告を!

   譲渡所得税は、『所得税』および震災による復興財源に充てるための『復興特別所得税』(2037年12月31日までに生じる

所得が対象)15.315%と、『住民税』5%で構成されており、合計で20.315%になります。

譲渡所得に、この20.315%を乗じた金額が、譲渡した個人が納める譲渡所得税になります。

そして、この譲渡所得が発生した際は、『確定申告』も忘れずに行わなくてはいけません。

株式の譲渡益のほか、土地・建物等の譲渡や山林所得などがある場合、確定申告時にほかの所得と分ける

『申告分離課税』が適用されます。

つまり、譲渡益は給与所得や事業所得と区別する“副収入”と見なされるのです。

法人の経営者は、自社から給与の支払いを受けているので、通常は個人で確定申告を行なう必要はありません。

しかし、給与所得者であっても、以下の条件に該当する場合は、確定申告が義務となるため留意しましょう。

(1)年間の給与収入が2,000万円を超える

(2)1か所から給与の支払いを受けている人で、給与所得および退職所得以外の所得が20万円を超える

(3)2か所以上の事業者から給与等の支払いを受けている人のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、

         年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得および退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える

株式譲渡による譲渡益を得た場合は、たとえ年間の給与収入が2,000万円以下でも、給与所得および退職所得以外の所得が

20万円を超える可能性があります。

一般的に、株式の譲渡益が20万円以下になることは少ないため、ほとんどの人が確定申告を行うことになるでしょう。

このときに気を付けたいのが納税の時期です。

譲渡所得税のうち、『所得税および復興特別所得税15.315%』は、毎年3月15日までに確定申告を行ったのち納税し、

『住民税5%』は確定申告後に納付します。

うっかり確定申告を忘れたり、納税期限を過ぎたりしてしまうと、加算税や延滞税が加算されることもあるので注意が必要です。

国内においては、M&Aの件数も年々増加しており、その傾向は今後も続くと予想されます。

高齢化や後継者不足などにより、他社に事業を承継してリタイアを考えている経営者は少なくありません。

その際、多くの企業は株式譲渡によるM&Aを選択することになります。

将来に備えて、株式譲渡にかかる税金について、知識を深めておきましょう。 

  ※本記事の記載内容は、2022年1月現在の法令・情報等に基づいています。

 税務・会計でお困りのことはどんなことでも斎賀会計事務所までお気軽にご相談ください。

     

 基礎知識として知っておきたい『出向』と『転籍』の違い  2022-2-9

   出向とは、自社の従業員に、関連する子会社やグループ会社で働いてもらう

異動の形の一つです。

これまでネガティブなイメージを持たれることの多かった“出向”ですが、

近年は従業員のキャリア形成やノウハウの獲得、企業間交流などの

メリットも注目されています。

出向には、『在籍型(出向)』と『移籍型(転籍)』の2種類があります。

在籍型の出向と移籍型の転籍は労働法に基づく契約関係が異なるので、

経営者はそれぞれの違いを理解しておく必要があります。


出向と転籍それぞれに適用されるルール

   それではまず、出向と転籍の違いについて、整理していきましょう。

出向は、出向元と出向先と従業員の三者による労働契約で区別することができ、

従業員が出向元の企業に在籍したまま、子会社やグループ会社など出向先の企業で勤務することをいいます。

この場合、従業員は出向元の企業と結んだ労働契約を保持したまま、出向先の企業とも労働契約を結びます。

つまり、二重の労働契約となります。

出向先のプロジェクトが終了したり、一定の期間が過ぎたりすると、出向元の企業に戻るのが通例です。

労働時間や休日などの労務提供に関するルールは、出向先のものが適用されますが、

賃金や賞与、退職金などの待遇に関しては、出向元の就業規則が適用されています。

また、労災保険は出向先の条件が適用され、雇用保険と社会保険(健康保険・厚生年金保険)は出向元で加入します。

   一方、転籍の場合、従業員は現在勤めている企業と結んでいた労働契約を解除し、

転籍先の企業と新たに労働契約を結びます。

転籍先の企業に移るため、従業員は基本的に出向元の企業に戻ることはありません。

実質的に退職扱いとなり、従業員に適用される就業規則などのルールは、全て転籍先のものになります。


出向や転籍を命じるときに重要なこと

   このように出向と転籍の違いは、『労働契約の有無』が大きなポイントになります。

一般的に、本社から地方の支社に出向させる場合や、降格を伴う出向は『左遷』と

呼ばれることがあります。

しかし近年では、従業員に経験を積ませたり、他企業の業務を学ばせたりする

ポジティブな意味合いで出向が行われることも増えてきました。

一方、転籍は、従業員との関係を断つことになるため、雇用調整や人員整理などの目的で

行われることが多くあります。

ここで気を付けなくてはならないのが、企業が従業員に出向や転籍を命じる場合、

雇用契約書や就業規則に『出向命令権』の記載があり、従業員側がこの行使に同意している必要がある

ということです。

基本的には、労働契約を締結した段階で就業規則には同意しているとみなされるので、

出向命令権の記載があれば、企業側は出向や転籍を命じることができます。

ただし、出向や転籍によって従業員に不利益が生じたり、社会的に妥当な範囲を越えていたりする場合には、

命令が無効になることもあります。

特に、転籍については出向元の企業と労働契約を解消する必要があるため、

従業員の同意が最も重要な要件だといえるでしょう。

トラブルのない、スムーズな出向や転籍を行うには、出向元と出向先の企業が密に連携を取り、

従業員が働きやすくなるよう心掛けることです。

さらに、異動の内示を行うときは、従業員それぞれの事情や生活環境、人選の合理性なども

考慮しなければいけません。

たとえば、介護や育児のため働く環境を変えることが難しい従業員に出向命令を出すのは不適当ですし、

嫌がらせや、不当な動機で命令を出すこともできません。

出向の命令が、必要性や対象者の選定に係る事情に照らして、権利を濫用したものと認められる場合には、

出向命令は無効となります。

出向と転籍には、まず従業員の生活状況を理解してから、意向を聞いて了承を得るなどの

段階を踏んでいく配慮が欠かせません。

企業側の事情をよく説明して理解してもらったうえで、後々のトラブルを防ぐための同意書を交わすなどして、

適切な内示を行いましょう。

    

  ※本記事の記載内容は、2022年1月現在の法令・情報等に基づいています。

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 企業が行う源泉徴収の範囲と源泉所得税の計算方法  2022-1-19

  

   その年に所得があった人が納付する『所得税』。

多くの人に関わりのある税金ですが、この所得税に対し、

あらかじめ給与から天引きして納める『源泉所得税』が存在します。

この2つには、どういった違いがあるのでしょうか。

今回は、源泉所得税の仕組みや計算方法、経営者と経理担当者が知っておきたい

源泉徴収税のポイントについて説明します。

源泉徴収の基礎知識

   所得税は、暦年1年間の所得に対して納める税金です。

しかし、個人が納税額を算出して別々に納税するのは、本人も納税先となる税務署も手間がかかってしまいます。

そこで、わが国では企業側が給与からあらかじめ所得税分を差し引いて、従業員の代わりに納税する

『源泉徴収』という制度が採用されています。

このときに徴収される所得税が、『源泉所得税』です。

基本的に、源泉所得税は各種控除が適用されていない多めの額が徴収されます。

そのため、企業側は年末に調整を行い、各種控除が適用された正確な所得税額を算出した上で、

差額を従業員に返金します。

これを『年末調整』といいます。

また、企業が源泉所得税を徴収するのは、自社の従業員だけではありません。

給与所得以外にも、以下の支払いが源泉徴収の対象となります。

ただし、対象となるのは個人の所得に限り、法人の場合は下記にあげた、

馬主である法人に支払う競馬の賞金以外は、源泉所得税を徴収する必要はありません。

●原稿料や講演料など

●弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金

●社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬

●プロ野球選手、プロサッカー選手、プロテニス選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金

●映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビ放送等の出演等の報酬・料金や3

  芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金

●ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とする、

いわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金

●プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金

●広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

これらの源泉徴収に対しては年末調整が行われないため、支払いを受けたフリーランスや個人事業主などは、

毎年、確定申告を行う必要があります。


源泉所得税の計算と納税方法

   企業側は、従業員の給与や外部の事業者の報酬から差し引いた源泉所得税を、

給与などを実際に支払った月の翌月10日までに納めなければいけません。

このとき、使う書類が『所得税徴収高計算書』です。

所得税徴収高計算書は所得ごとに種類が違い、従業員の給与から差し引いた源泉所得税には

『給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書』を使います。

この給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書はもっともよく使われる書類で、

企業の経理担当者が納める税金を計算し、合計額を記入します。

では、どのようにして給与の源泉徴収額を求めるのでしょうか。

手順としてはまず、残業代や手当なども含めた月の給与額を確定していきます。

次に、確定した額から、社会保険料などの所得控除を差し引くと、その金額が

源泉所得税を算出するための課税所得になります。

この課税所得を国税庁が発表している『源泉徴収税額表』に照らし合わせて、税額を求めていきます。

現在、国税庁のホームページでは、2022年分の源泉徴収税額表が公表されていますが、

2020年の1月以後、税額は改正されていません。

ただし、短期退職手当等に係る課税退職所得金額の算出方法については改正が行われ、

2022年4月より施行されるため注意が必要です。

また、源泉徴収税額表には、月給制の給与に対応する『月額表』と、

日給制や週給制に対応する『日額表』があり、扶養控除等が適用となる従業員用の『甲欄』、

適用されない従業員用の『乙欄』、日雇い従業員用の『丙欄』があります。

記入する際に、間違えないようにしましょう。

給与所得以外にも、退職所得や賞与所得などにも源泉徴収が必要です。

給与を支払う従業員の数が常時10人未満の法人は、毎月ではなく、年2回に分けて納税できる

『納期の特例』もあります。

『納期の特例』を受けるためには、源泉所得税の納期の特例の承認申請書の提出が必要です。

源泉所得税は企業における税務会計の基本です。

実務に当たっては細かい事項も多いので、国税庁のホームページや、税について書かれた本を参考にするなどして、理

解を深めていきましょう。

  

  ※本記事の記載内容は、2021年12月現在の法令・情報等に基づいています。

 税務・会計でお困りのことはどんなことでも斎賀会計事務所までお気軽にご相談ください。

     

税務調査で指摘されない摘要欄の書き方を知っておこう 2022-1-19

  

   帳簿には取引における勘定科目や金額を記載しますが、

それだけでは取引内容が把握できないため、『摘要欄』に取引先や取引の詳細

など、具体的な情報を記入する必要があります。

もし、この欄が空白だったり、記入された内容があいまいだったりすると、

税務調査で追加の資料を求められたり調査の期間が長引いたりしてしまいます。

今回は、税務調査で指摘されない摘要欄の書き方について説明します。


摘要欄に記入がないとどうなる?

   帳簿とは、事業の取引状況、つまりは収入金額や必要経費の発生など、お金の流れを記録した台帳のことで、

事業活動に欠かせないものです。

しかし、記載されている項目が日付や金額だけでは、後で帳簿を見返した際に、どのような取引だったのかが

伝わりません。

また、帳簿を入力する人物が複数いる場合、摘要欄に取引内容の詳細が記載されていないと、

ほかの人が見たときに、「これは何のことだろう」と疑問に思うかもしれません。

入力した人物はその取引について覚えていても、ほかの人がその取引内容を把握するには、

より詳細に書かれた情報が必要です。

その点からいっても、摘要欄はなくてはならないものなのです。

摘要欄は、日付や金額、勘定科目以外の詳細情報を記入します。

取引先の名称や取引事由など、取引の事実を示す具体的な内容を記入していきましょう。

また、普段の税務申告で摘要欄がチェックされることはありませんが、税務調査においては、

摘要欄への記入の有無が大きな意味を持ちます。

摘要欄が空欄だったり、取引内容が具体的に記入されていなかったりすると、税務官に不明瞭な取引だと

判断されかねません。

その取引が経費に関するものであれば、経費の計上が認められなくなってしまう可能性もあります。

取引があったという事実や取引の根拠を示すためにも、摘要欄は正確に記入しておきましょう。


現在、多くの企業では、帳簿の入力に会計ソフトを活用しています。

会計ソフトにも摘要欄があり、そこに入力したキーワードでソートや検索をすることもできるため、

社内で記入するルールを統一しておくとよいでしょう。

ルールを統一していないと、作業効率が低下するばかりか、肝心の税務調査において、

記入した人しかその内容を説明できず、調査を長引かせてしまうことになります。

では、摘要欄に情報を記載するときのルールは、どのように決めていけばよいのでしょうか。

摘要欄には、取引先の名称や取引内容などを記載します。

取引先に関しては、売上であれば販売先、経費であれば販売元を記入し、

取引内容に関しては、売上であれば販売した商品名、経費であれば購入した商品名を記入しましょう。

たとえば、移動に使用したタクシー代を経費として計上する場合は、以下のように記載します。

タクシー代であることはもちろん、利用したタクシー会社やその区間、移動の目的なども記入します。

<借方>
旅費交通費 
1,380円 

<貸方>
現金 1,380円 

<摘要>
○○交通株式会社
タクシー代 渋谷区笹塚~新宿区住吉
(□□工務店訪問)

この際、前述した通り、社内で表記ルールを決めておくことが重要です。

『○○交通株式会社』なのか、株式会社は省略して『○○交通』だけにするのか、番地や号まで含めるのか、

それも県をまたぐ移動に限って簡略化させるのかなど、あらかじめ細かく決めておくことで、

ソートや検索も容易になり、誰が見ても取引内容を理解できる帳簿を作ることができます。

接待交際費であれば、お店の名前のほかにも、参加人数や名称、食事の目的などを記入しておきます。

ただし、細かくなると入力に手間がかかるので、「○○社・○○さんほか3名」のように、

ルールを定めて省略しても問題ありません。

また、摘要欄には軽減税率についての記載も必要です。

2019年10月からスタートした軽減税率は、消費税10%の引き上げにともない、

特定の品目の税率をほかの品目に比べて低く定めるというもので、現在、食料品などの一部品目の消費税が

8%に据え置かれています。

摘要欄に記載する取引に関しても、標準税率の10%なのか、軽減税率の8%なのかを区別する必要があります。

国税庁では、軽減税率の商品を摘要欄に記載する場合、『※』や『☆』などの記号を記載して、

軽減税率の商品を明確にするよう求めています。

また、帳簿に『※は軽減税率対象』と表記するなど、記号が軽減税率の対象であることを明確にしておきましょう。

帳簿は税務調査の際に必要になるだけでなく、自社の過去の取引における大切なデータです。

きちんと整理された帳簿のつけ方を心がけることが大切です。

  

  ※本記事の記載内容は、2021年12月現在の法令・情報等に基づいています。

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