法人税、法人住民税、法人事業税の『法人3税』について解説!  2021-04-21

  

 事業者が法人登記を行い、事業をスタートさせた時点で、

法人には納税義務が生じます。

法人が納める税金のうち、代表的なものとしてよくあげられるのが、

法人税、法人住民税、法人事業税からなる『法人3税』です。

どれも似たような名前の税金ですが、法人税は国税で、残りの2つは地方税

という違いがあり、納税先が異なるうえに、税金のかかる対象も変わってきます。

会社を運営していくにあたり、これらの違いをしっかりと理解しておくことが重要です。

今回は、法人3税の基本的な内容について解説します。


 法人税の計算方法や申告期限

 会社を運営していくうえでは、消費税や固定資産税など、さまざまな税金を納めていかなければなりません。

特に法人3税は、会社が納める税金のなかでも比重が大きく、とても重要な税金です。

法人3税は、法人税、法人住民税、法人事業税で構成され、それぞれ性質が異なります。

まず、法人税は、会社の利益に対して課せられる税金で、個人でいうところの所得税に該当します。

ただし、個人の所得税は所得に応じて税率が変わる累進課税なのに対し、

法人税は、一部例外はあるものの、原則的に税率は固定されています。

所得の低い中小企業などには軽減税率が適用され、基本的には法人税率23.2%で計算を行います。

法人税の納税額は、『所得×法人税率』で求めることができます。

ここで注意したいのが、所得をみちびくための費用の取り扱いです。

会計上、利益は収益から費用を引いて求めますが、必ずしも、『損金=費用』ではありません。

費用のなかには、駐車違反の罰金や税金の延滞金など、会社のために使用したお金であっても、

損金にならないものもあるからです。

収益から費用を引いたものは『利益』と呼び、税務会計上の所得とは上記のような考え方の違いから

ズレが生じます。

そのため、税務会計上の所得は、会計上の利益に様々な調整を行うことにより算出されます。

その点に注意し、正しく所得を求めるようにしましょう。

ちなみに、こうして算出された法人税額に基づいて、法人税の申告と納税を行うことになります。

申告期限は、事業年度が終了した日の翌日から2カ月以内となっているので、忘れずに提出しましょう。


 法人住民税と法人事業税は地方税

 法人税が国税なのに対し、法人住民税は地方税です。

したがって、会社の事業所がある地方自治体に納税することになります。

法人住民税は個人の住民税と同様に、都道府県民税と市区町村民税に分かれています。

東京23区に事業所がある場合のみ、例外的に都民税として、ひとまとめになります。

法人住民税は、法人税割と均等割で構成されており、法人税割が法人税額を基礎として課税されるのに対し、

均等割は資本金や従業員の数に応じて課税されます。

つまり、均等割は定額で課税されるため、たとえ赤字によって法人税額が0円だったとしても、

納税の義務が発生するのです。

たとえば、東京都の場合は、資本金1,000万円以下で従業員が50人以下の企業の場合、均等割額は7万円です。

1,000万円超から1億円以下で、従業員が50人超の企業であれば、20万円と定められています

(いずれも1つの特別区内のみに事務所等を有する法人のケース)。

そして、法人事業税も、法人住民税と同じ地方税です。

そもそも、法人事業税は、どの会社も事業を行う際に各都道府県の行政サービスを受けているため、

その費用を負担するべきという考えに基づいた税金です。

したがって、納税先は事業所のある都道府県になります。

法人事業税は、『所得×法人事業税率』で求めることができますが、

法人事業税率は各自治体の規定によって異なります。

なお、法人事業税は、法人税や法人住民税とは異なり、経費として損金算入ができるという特徴があります。

申告書を提出した事業年度の経費になるので、忘れずに計上してください。

ちなみに、法人住民税と法人事業税の申告書の提出期限も、法人税と同じ、

各事業年度終了の日の翌日から2カ月以内となっています。

これら法人3税は、法人に関する税金のなかでも、もっとも基本的なものです。

実際の申告や納税などは専門家に任せる場合もありますが、知識があるに越したことはありません。

法人を営むうえで、大切な法人3税。

基本的な要素について、いま一度確認しましょう。


※本記事の記載内容は、2021年3月現在の法令・情報等に基づいています。


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 これからの社会を変革していく『デジタルトランスフォーメーション』  2021-04-14

   近年、『デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation)』

という言葉が注目を集めています。

DXと略されるこの言葉は、もともとは『IT技術を使って人々の生活をよくしていく』

という社会的な概念で、スウェーデンのエリック・ストルターマン教授によって

提唱されました。

では、DXは、従来の『IT技術を導入すること』とは何が違うのでしょうか。

そして、自社にどのように取り入れていけばよいのでしょうか。

今回はDXについて、その定義や具体的な事例などについて解説します。
 
 文脈や立場で変化するDXの定義

   2004年に、スウェーデンのストルターマン教授が提唱したDXという概念は、

近年、さまざまな意味を持つ言葉になってきています。

スウェーデンのウメオ大学で、情報技術と社会の関係性を研究していたストルターマン教授は、

DXを『IT・デジタル技術と現実が次第に融合していき、人々の生活がよくなるように社会・経済が

発展していくこと』と定義しました。

その後、2010年代に入り、DXはアメリカのビジネスパーソンたちの間で、『企業におけるビジネス戦略としての

IT技術を使った組織やビジネスの革新』という意味合いで使われるようになりました。

一方、日本の経済産業省は上記のような意味あいのほか、『IT技術を使って、これまでの旧型のシステムから脱却する』

という意味合いでも使用しています。

このようにDXは立場や文脈によってさまざまな解釈がある言葉です。

ストルターマン教授が、社会全体を広く俯瞰で捉えた、人類全体のテーマとしてDXを定義しているのに対し、

ビジネスパーソンの間では、デジタル技術を活用した、組織やビジネスの革新としての意味合いで使われています。

DXは、広義では社会的なテーマとして、狭義ではビジネス的な視点で語られているのです。

ここでは、デジタル技術による組織やビジネスの革新を行う、狭義のDXについて説明していきます。


DXを成功させた企業の具体例

   これまでのいわゆる『IT化』が、ペーパーレスなどの業務の効率化を目的としていたのに対し、

DXは、そこから一歩進んで、デジタル技術によってビジネスの革新を進めていくという意味合いを持ちます。

業界のDXをけん引した具体例としてよく知られているのが、タクシー最大手の日本交通の例です。

日本交通は、2011年に日本初のタクシー配車アプリをリリースし、全国のタクシー会社に提供。

さらに、決済機とデジタルサイネージを兼ね備える後部座席設置型タブレットにより、

キャッシュレス決済の普及にも寄与しています。

これまで流しのタクシーをつかまえて行き先を告げ、現金払いが常識だったタクシー業界の顧客利便性をアップさせました。

また、AIを活用した配車システムの導入によって、さらなる革新も遂げています。

過去の人口動態データ、気象データ、公共交通機関の運行状況のデータ、大規模施設でのイベントのデータ、

タクシーの運行実績データなどをAIが分析し、乗車のニーズが多い場所をドライバーに知らせるという

需要予測システムを日本交通の子会社であるJapanTaxi(現・Mobility Technologies)とトヨタ自動車とで

共同開発したのです。

このシステムによって全体的な乗車率を底上げすることに成功しました。

タクシー全車の位置を毎秒把握するシステムも開発し、配車時間をこれまでの10分から5分に短縮することも

可能になりました。

このシステムによって、客と車をいち早く引き合わせ、ドライバーは、より効率的に稼ぐことができるようになったのです。

また、スウェーデンの企業スポティファイ・テクノロジーによって開発された、月額で音楽が聴き放題になる

『Spotify』も、DXの具体例としてよく語られます。

もともと音楽のダウンロード販売など、業界のデジタル化は進んでいましたが、定額で5,000万曲以上の楽曲が

自由に聴けるという『Spotify』のサービスは、音楽の聴き方そのものに大きな変化をもたらしました。

今では、全世界で約3億2,000万人のユーザーを抱え、有料会員数も約1億4,400万人と、

世界最大手のサービスに成長しました(2020年9月末時点)。

このように、DXによる革新は、さまざまな方面で画期的なメリットをもたらします。

ただし、そのためには先行的な投資とデジタル技術の導入だけでなく、それを裏付けるものとして

経営戦略や組織づくりまで変えていく必要があるかもしれません。

また、革新によりさらなる成長が期待できる企業がある一方で、古い技術に固執してしまう企業のなかには、

やがてその技術分野が廃れて企業社会から取り残され、事業の継続が難しくなってしまうケースも出てくるでしょう。

そのような企業にとっては、DX推進に乗り遅れることは大きな損失につながる恐れがあり、

裏を返すと、DXを受け入れて自ら変わることこそが生存戦略となるわけです。

経済産業省は、従来のシステムでは企業の成長に限界があると指摘しており、DXによる早急なシステムや

組織の変革を推進しています。

どのようにDXを受け入れ、推進していくか、議論を重ね、自社にできることから少しずつでも変えていくことが

大切だといえるでしょう。


     

決算書がなんだか不自然?チェックすべきポイントはどこか   2021-04-07

  決算書は、間違えてしまっても、基本的には遡って修正ができないものです。

しかし、間違いがわかると、銀行から融資を受けるときに不利になる可能性が

あるなど、注意が必要です。

今回は、決算書を作ったあとで、内容をチェックするポイントをまとめました。


まずは前期の決算書と見比べて大きな違いがないか確認

  決算書を見慣れていないと、できあがった決算書のどこを見ればよいのか迷うかもしれません。

そんな時は、前期の決算書と見比べてみるとよいでしょう。

 まずは、前期に比べて金額が大きすぎるもの、小さすぎるものを確認していきます。

ただ、前期がイレギュラーな場合もありますので、その場合はさらに遡ってその前の決算書と比較します。

 ポイントは、なぜこの数字になっているのかという理由が明確かどうかです。金額に大きな差がある項目を

拾って経理担当者に確認をしたり、月別の会計書類を見たりすることで理由が判明すれば問題ありません。

しかし、数字の根拠がはっきりしない場合、決算書に間違いが起きている可能性があります。

 続いて売掛金も確認します。支払日の設定が月末の場合、売掛金には、1カ月分の売上額とほぼ同程度

の額が計上されることになります。そのため、決算書に残っている売掛金の額が大きすぎる場合、

回収できているのに会計処理がされていない可能性があります。また、逆に少なすぎる場合には、

売上が計上されていない可能性が考えられます。

 これは、売掛金だけでなく、買掛金や未払金などの『計上とお金の動きにタイムラグがある』科目の

すべてに当てはまることで、注意が必要です。


予算と決算の乖離には要注意誤りはすぐに修正を

 会社によっては、来期の予算を立てて事業計画を作るところもあるでしょう。決算書の確認では、

あらかじめ立てた予算と決算の数字に大きく差が生じていないかをチェックするのも、間違いを見つける

ポイントです。また、決算の数字には誤りがないものの予算を大きくオーバーしていた場合は、予算管理が

できていないことになります。経営者として、なぜそうなったのかを追及しなければなりません。

逆に、予算よりも少ない数字で落ちついた場合には、来期の予算はほかの部門に投資する方向にしようと

考えることもできます。

 決算書は経営状況を知るほかに、法人税等や消費税を正しく申告・納税するための基礎資料にもなります。

決算書が間違っていたら、納税額も間違っている可能性があります。納税額に誤りがあることが分かったら、

早急に修正対応をしましょう。

 原則として、決算書の間違いは修正できません。

株式会社の場合、決算書は株主総会で承認を得なければなりません。そのため、法人税等や消費税の申告期限後は、

基本的に決算書は修正できません。誤りを正す方法としては、次の会計年度で処理をすることになります。

 また、法人税については、正しく計算し直した結果、納税額が増える場合は修正申告を行います。

逆に納税額が減る場合は、更正の請求を行います。更正の請求は期限が5年と決まっているため、

遅れないように注意しましょう。

 このように、間違った決算書で確定申告をしてしまうと、あとで煩雑な手続きが必要になります。

そうならないためにも、ポイントを押さえてしっかり見直すことが大切です。

  

※本記事の記載内容は、2021年3月現在の法令・情報等に基づいています。

 

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 紙の領収書の保存が不要になる『電子帳簿保存法』とは    2021-03-10

  

   テレワークが普及しつつある現在、紙で保存していた帳簿を

電子データでの保存に切り替える企業が増えています。

こうした帳簿の電子化については、かなり前から関連法案の整備が進んでおり、

2020年度税制改正では、より実用レベルで活用しやすい法律に改正されました。

今回は、電子帳簿導入の要点や導入のためのポイントなどについて解説します。


   コスト削減に大きく貢献する紙の電子化

   これまで多くの企業で、税務関係の帳簿・請求書・領収書などの書類は、紙で管理されてきました。

税務上では帳簿などの書類を7年間(※)保管することが義務づけられているため、

当然その書類を保管するためのスペースも、管理するコストもかかっています。

※:平成20年4月1日以後に終了した欠損金の生じた事業年度においては9年間、

平成30年4月1日以後に終了した欠損金の生じた事業年度においては10年間に延長

そこで、政府は1998年に、国税関係の書類については電子データでの保管を認める、

電子帳簿保存法を制定しました。

この法律では、『国税に関する会計帳簿や、請求書や領収書などを、紙ではなく電子データで保管してもよく、

その電子データを原本として取り扱うことができる』ということが定められています。

最初からPCなどで作成した書類はもちろん、もともと紙だった請求書や領収書などをスキャンしたものも

電子データとして認められることになりました。

その後、電子署名の省略が可能になり、デジタルカメラやスマートフォンなどで撮影された一

定の要件を満たした請求書や領収書などの書類も電子データとして認められるようになるなど、

電子帳簿に関連するさまざまな法律が、より実務的なものに変わってきています。

このように、スペースやコストの削減に大きく貢献する電子帳簿ですが、自社で導入する前に、

所轄の税務署長に対して、申請書を提出する必要があります。

具体的には電子保存をはじめる3カ月前までに、申請書類や電子保存のためのシステム概要を記載した

書類などを提出し、税務署長の承認を受けることで、はじめて電子帳簿を使い始めることができるようになるのです。

もし、これから電子帳簿を導入する際には、その点に留意しておいてください。


   理解しておきたい『タイムスタンプ』のこと

  請求書や領収書などの電子データ化によって利便性は高まりましたが、一方で、紙と比べて改ざんのリスクも

大きくなりました。

そこで、電子帳簿保存法では、電子データにタイムスタンプを付与することを義務としています。

タイムスタンプとは、ある特定の時刻に電子データが存在し、特定の時刻以降に不正な改ざんや修正が

されていないことを証明する技術です。

タイムスタンプに記載された情報を、オリジナルデータと照合すると、タイムスタンプが付けられた時刻から、

データが改ざんされていないことを証明することができます。

したがって、タイムスタンプがあれば、その書類に改ざんが行われていないかどうかを証明することが

可能になるのです。

このタイムスタンプについても、より実務に即した法改正が進められています。

2020年度税制改正では、電子データの保存条件が緩和され、領収書や請求書の発行者側と受領者側の両方で

タイムスタンプの付与が必要だったところ、発行者側でタイムスタンプを付与していた場合には、

受領者側で付与する必要はなくなりました。

ちなみに、このタイムスタンプを付与するには、タイムスタンプ発行のためのサービスを利用する必要があります。

複数のサービス事業者がタイムスタンプの発行ビジネスを手がけており、スタンプを付与する回数や、

月額・年額利用など、さまざまなプランを提供しています。

導入を考えているならば、自社に合うプランを比較、検討してみるとよいでしょう。

ほかにも、クラウド型会計・経費精算システムを導入して、各電子データにタイムスタンプを付与するという

方法もあります。

これまでの経費精算は、各社員が領収書をまとめ、紙やエクセル等に入力し、経理担当者が一つずつ

手作業で確認しながら仕訳するのが一般的でした。

クラウド型会計・経費精算システムでは、社員が外出先で領収書をスマホなどで撮影し、

アップロードすることで、自動的に仕訳が行われ、いつでも経費精算が可能というサービスが提供されています。

そして、スマホやスキャナで取り込んだ領収書をクラウドシステムにアップロードする際に、

タイムスタンプを自動で付与してくれるため、その後、タイムスタンプを付与する手間が一切不要になるのです。

これまで行ってきた帳簿作業を変更するには手間や時間がかかります。

しかし、電子帳簿はスペースの確保やコストの削減、業務の効率化など、長い目で見れば大きなメリットを

もたらしてくれます。

自社の実情を踏まえながら、導入を検討してみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2021年2月現在の法令・情報等に基づいています。

 

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 経理作業の際は把握しておきたい! 決算業務の基本の流れ    2021-03-03

  

   年に一度の期末決算は、企業にとって大切な節目の決算であり、

作成した決算書は納税や株主総会資料など多くの場面で活用されます。

しかし、通常業務をこなしながら期末決算も行う経理担当者にとっては

苦労も多く、法人税などの税金は、事業年度終了日の翌日から2カ月以内に

納付しなければいけないため、それらと合わせると進行スケジュールも

タイトになりがちです。

忙しいなかでも決算をスムーズに進めるためには、決算や決算後の流れを把握しておくことが大切です。

そこで今回は、期末決算やそれに関連する作業についておさらいします。


決算を楽にするのは日頃からの積み重ね

 決算とは、その会社の1年間の収支や損益をまとめるための総括的な作業をいい、

会社法では、1年に一度決算を行い、決算書を作成することを企業に義務付けています。

決算作業には多くの時間が必要なため、経理担当者が一人しかいない場合や、

経営者が経理を担当している場合などは、ほかの仕事を棚上げしてかかりきりになってしまうこともあり、

中小企業の悩みの種になっています。

そのうえ、新年度の会計業務も発生するため、混乱を招かないためには相応の準備が必要です。

そもそも決算をスムーズに行うためには、普段から決算期を見越して、丁寧な経理業務を積み重ねていることが大切です。

仕訳科目に間違いがないか確認したり、打ち込んだ金額にミスがないか見直したりするなど、

普段から決算期に向けてデータを積み重ねる意識をもつことです。

その積み重ねてきたデータを最終的に『決算書』としてまとめていくのが、決算業務の本質なのです。

さて、決算書は『財務諸表』とも呼ばれ、会社の1事業年度の経営状況や成績、財政状態などを記してあることは

いうまでもありません。

決算作業では、『損益計算書』『貸借対照表』『キャッシュフロー計算書』『利益処分計算書』『附属明細表』

『株主資本等変動計算書』などを作成していくことになります。

特に、このなかの『損益計算書』『貸借対照表』『キャッシュフロー計算書』は『財務三表』という呼び名があるほど

重要視されています。

初めて決算書を作るときには、まずこれらについて調べてから取り掛かるとよいでしょう。

作成する準備としては、決算時に特有の『決算整理』という処理から行っていきます。

決算整理とは、資産や負債を評価しなおす作業で、当期の取引のなかで未処理のものがないか確認し、

売掛金などを整理して、帳簿が合っているかなどを確認します。

決算整理の段階で大きな取りこぼしをなくし、正確性を得ることが大切です。

続いて、現金残高や預金残高も帳簿と一致しているかを照合し、間違いがないかを確認します。

自社が現物を扱っている場合は、原材料や商品の在庫の数をチェックして、棚卸資産や売上原価も算定しましょう。

さらに自社の固定資産などの減価償却費や貸倒引当金も計算し、計上していきます。

一連の作業のなかで、在庫の確認作業については、棚卸しをして、実際の在庫の数を算出する必要があります。

作業時間を考慮して、余裕を持ったスケジュールを組むようにしましょう。

また、仕訳帳や総勘定元帳に誤りがないかを確認するために、決算整理の段階で作成する『試算表』というものもあり、

間違いや漏れがないようにチェックする際に役立ちます。

試算表を入念にチェックしたら、いよいよ決算書を作ります。

財務三表などの書類を、決められた書式でまとめていきましょう。

会社法においては、帳簿書類等の保存期間は10年と定められています。

通帳や棚卸表、領収書なども保存期間が決まっているので、きちんと保管しておく必要があります。


決算書作成が終わっても油断はできない

 決算書が完成したら、株式会社の場合は、取締役会や監査役などの監査を経て、株主総会に提出します。

原則として、株主総会は事業年度末から2カ月以内に開催されるため、

その期間内に決算書をまとめなければならず、注意が必要です。

また、監査にも通常2週間ほどかかるため、決算に使える時間はさらに短くなるということも考慮しておきましょう。

また、作成した決算書を元に、税金の計算にも着手します。

税金の計算は残高が確定した段階でも行うことができるので、会社のスケジュールによっては、

決算書の作成前にすることも可能です。

税額が確定したら、法人税申告書にまとめて、決算書と共に税務署等に提出します。

決算業務は作業量が多く、毎年大変な思いをしている企業も多くあります。

しかし、決算に時間がかかってしまい、本業に支障が出てしまっては本末転倒です。

決算期をスムーズに乗り越えるためにも、普段の経理業務を丁寧にこなしながら、知識をつけていくことが大切です。 


※本記事の記載内容は、2021年1月現在の法令・情報等に基づいています。

 

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   会社のお金を“私物化”することによる税務会計上のデメリット  2021-02-24

   大手企業は別として、多くの中小企業では社長が株主を兼ねているケースが

ほとんどです。

いわゆるオーナーとして会社に出資している立場ですから、

“会社のお金は自分のお金”という感覚になってしまう方もいるのではないでしょうか。

しかし、会社の資金を私物化すると、税務会計上のデメリットが発生する可能性が

おおいにあります。

そこで今回は、知っておきたいさまざまなデメリットについて説明します。
 
 経営者と法人のお金は分けるのがルール

   法律上では『経営者と法人は別人格』と定義されますから、

原則、経営者個人の資産と法人の資産は分けて考えなければなりません。

中小企業では、株主と経営者が同じ場合も多いことなどから、

資金の面でも公私混同をしてしまう経営者もいるようです。

しかし、経営者はあくまで自社を経営・管理する立場ですから、いくら会社に資金があったとしても、

経営者が自由に会社のお金を使ってよいわけではありません。

仕事とプライベートの財布は分けることが基本です。


決算書に『貸付金』があると融資が下りづらくなる

   では、会社のお金を持ち出してしまったら、どんなデメリットが発生するのでしょうか。

たとえば、個人的な支払いのために会社の資金を10万円ほど持ち出し、使ってしまったとします。

その場合、10万円を会社から経営者に貸し付けたことにし、決算書では経営者への『貸付金』として計上します。

会社の貸借対照表には『短期貸付金』(決算日の翌日から1年以内に返済期日が到来する貸付金)や

『長期貸付金』(決算日の翌日から1年を超える返済期限で貸し付ける貸付金)という勘定区分で

記載されることになるわけです。

ちなみに、10万円が業務に関わる出費だったとしても、レシートや領収書など、証明できるものを紛失してしまうと、

その10万円は使途不明金になり、上記と同様に経営者への『貸付金』として処理することになります。

どちらのケースにせよ、会社の資金管理の甘さが目立ちますし、税務会計上でも、決してよいことではありません。

まず、決算書に貸付金があると、金融機関の融資が下りづらくなってしまいます。

金融機関がお金を貸すのは、そのお金が事業に使われることが前提であるため、

貸付金があると、「お金を貸しても経営者のプライベートのお金に流用されてしまう可能性があるのでは?」

と判断されてしまいます。

また、ずさんなお金の管理をしている会社だという印象につながり、

金融機関における自社の評価が低くなってしまうのです。


余計な税金や利子の支払いも生じてしまう

   さらに、税務調査では本当に10万円が貸付金であることを客観的に証明しなければいけません。

もし、貸付金だということが証明できない場合は、その10万円は

会社から経営者への臨時ボーナスとみなされてしまいます。

そうなると事前に届出をしていないため、10万円が税務上会社の経費にならないばかりか、

経営者個人に対し10万円に対する所得税も課されてしまいます。

つまり、会社としても経営者個人としても税金を支払う必要が出てきますし、

もし10万円を経営者個人の所得として申告していない場合は、延滞税などの支払いも生じてしまいます。

10万円を貸付金であると証明するためには、会社にお金を返済していかなくてはなりません。

そしてこの場合、返済する金額には利子をつけることが定められています。

税務上、会社が経営者に無利子でお金を貸すことは認められていません。

会社は利益を追求するという原則のもとに成り立っているため、

たとえ経営者であったとしても、貸付金には利子が発生します。

役員または使用人に金銭を貸し付けた場合、その利息相当額は、

法令により貸付が行われた年に応じた利率が定められています。

たとえば、2018年~2020年中に貸し付けが行われたものであれば、1.6%です。

ただし、役員または使用人に、無利息または低い利息で金銭を貸し付けた場合に、

次の(1)から(3)までのいずれかに該当する場合には、上記にかかわらず、

給与として課税しなくてもよいことになっています。

(1)災害や病気などで臨時に多額の生活資金が必要となった役員又は使用人に、

        その資金に充てるため、合理的と認められる金額や返済期間で金銭を貸し付ける場合

(2)会社における借入金の平均調達金利など合理的と認められる貸付利率を定め、

        この利率によって役員または使用人に対して金銭を貸し付ける場合

(3)(1)および(2)以外の貸付金の場合で、上記の利率により計算した利息の額と

       実際に支払う利息の額との差額が1年間で5,000円以下である場合

このように、会社のお金をプライベートで使用すると、余計な税金を納めることになったり、

利子を付けて返さなくてはならなくなったりします。

持ち出しによって会社の資金が減るのはもちろんのこと、ずさんな経理をしていては、

従業員に対しても示しがつかず、信頼を失うことにもなりかねません。

そうならないためにも、会社の財布と個人の財布は別だという意識をしっかりと持って、管理を徹底していきましょう。

常に健全な経営を心がけることは、従業員や金融機関、取引先などと良好な関係を築くためにも大切なことです。


※本記事の記載内容は、2021年1月現在の法令・情報等に基づいています。

 

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 労働法に基づいた『出勤簿』の記入方法と管理方法とは  2021-02-17

   

   出勤簿は、従業員の労働時間を記録するための書類で、

従業員の残業時間や深夜労働の時間を把握するために、なくてはならないものです。

また、労働基準法では、出勤簿の保存を義務付けており、

正しく管理・保管をしておかない場合、労働法違反になってしまいます。

今回は、従業員の労働スケジュールを把握し、適切な労務管理を行ううえで大切な

出勤簿の記入方法や管理方法などを説明していきます。


タイムカードと実際の労働時間の差を修正する

   出勤簿は、賃金台帳や労働者名簿と並ぶ『法定三帳簿』の一つで、労働法によって

適切な管理が義務付けられています。

会社が従業員の労働時間を正確に把握し、適切な給与を支払うためのものであり、

基本的には、正社員やパート・アルバイトの区別なく、全従業員の労働時間を記入しなければいけません。

管理職に関しては、経営者と同じく自身の裁量で出退勤が可能なことが多いため、

必ずしも出勤簿に記入する必要はありませんでしたが、

働き方改革推進により2019年4月に改正施行された労働安全衛生法では、

管理職やみなし労働制の対象者についても健康管理の観点から労働時間の管理が義務付けられました。

そのため、原則としてすべての労働者には、労働時間管理の適正な把握のための出勤簿が必要となります。

タイムカードなどで従業員の始業時刻と終業時刻の記録を行う企業もありますが、

タイムカードだけでは出勤簿の代わりにはなりません。

なぜなら、タイムカードに打刻される出退勤の時間は、実際の労働時間とは一致しないことがあるからです。

タイムカードを押してから、すぐに労働に取りかかるのであれば問題ありませんが、

たとえば、仕事を始める前にコーヒーを飲んだり、雑談したりする時間もあるでしょう。

そういった時間を労働時間に含めてしまうことになります。

一般的に、タイムカードと実際の労働時間にはラグが発生するものです。

タイムカードを出勤簿として扱うには、作業日報や残業申請書などの資料と照らし合わせて、

実際の労働時間との差異がないことを証明しなければいけません。

従業員に作業日報をつけさせたり、残業申請書を提出させたりしたものを、

使用者が従業員の労働時間を算出するために有している記録と突き合わせることにより確認し、記録します。

そうして、実際の正しい労働時間を記入したものが、出勤簿として認められることになります。


労働時間の記録方法は2種類
 
   出勤簿には、正確な労働時間を把握する目的のほかに、従業員の健康を守るという側面もあります。

従業員が働きすぎているのであれば、これを是正していかなければなりません。

厚生労働省による『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』のなかでは、

労働時間(始業・終業・休憩時間など)を原則的な記録法として、

以下の2種類のうちのいずれかと定められています。

(1)使用者による直接確認および記録

(2)タイムレコーダーなどの客観的な記録

(2)には、タイムカード、ICカード、IDカード、パソコンの使用時間の記録が含まれます。

もし、その2つの方法ではなく自己申告制で行わざるを得ない場合には、

●その対象となる労働者に対して、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて

   十分な説明を行うこと

●自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、

  必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること

●労働者の労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定しないこと

といった措置を講じるよう決められています。

さて、そういったいくつかの決まりがある出勤簿ですが、書式に関しては決まりがありません。

手書きでも電子媒体への記録でも、どちらでも問題はありません。

記入するのは、従業員の出勤日と労働日数、始業と終業の時刻、日別の労働時間、

時間外労働や休日労働の日付と時間、深夜労働の日付と時間などです。

出勤簿には、これらの客観的な時刻を記録するようにしましょう。

厚生労働省では、ICカードやスマートフォン、PCやタブレットを使用した出退勤の打刻を推奨しています。

エクセルなどで管理するのが簡単ですが、最近はWeb上でフォーマットが公開されていたりもするので、

それらを活用してもよいでしょう。

また、出勤簿は、労働基準法第109条によって、3年間の保存が義務付けられています。

出勤簿は労働基準監督署の調査に必要な書類なので、解雇や退職した従業員の記録であっても、

最低3年間は残しておくようにしましょう。

万が一、出勤簿を紛失したり、破棄してしまったりした場合には、

30万円以下の罰金が科される可能性があるので十分に注意してください。

出勤簿は、会社を経営していくうえで、欠かせない書類の一つです。

紛失してしまわないよう保管するのはもちろん、外部の人に見られないようにセキュリティ対策を講じておくことも重要です。


※本記事の記載内容は、2021年1月現在の法令・情報等に基づいています。

 

お困りのことはどんなことでも斎賀会計事務所までお気軽にご相談ください。

      

差し押さえや刑罰もあり得る!? 税金を滞納した際のペナルティ   2021-02-10

   

   法人には、法人税や源泉所得税、法人住民税や法人事業税に消費税など、

さまざまな種類の税金を納付する義務があります。

経営状況の悪化などの理由で税金を滞納すると、そのペナルティとして『延滞税』が

発生します。

さらに、それでも支払いを先延ばしにしていると、税務署から督促状が送られてきて、

最終的には資産を差し押さえられてしまう可能性もあります。

そこで今回は、なかなか実態を知ることができない、税金を滞納し続けた際の流れを追っていきます。


税金の滞納で資産を失う可能性もある

   近年では、国税庁側の努力や、企業側の意識の高まりなどもあり、税金滞納の割合は減ってきています。

しかし、国税庁が発表した『令和元年度租税滞納状況』によると、令和元年度に発生した新規の税金滞納額は、

5,528億円にも上ることがわかりました。

内訳は、消費税が3,202億円で、所得税が1,249億円、法人税が765億円などです。

国税庁による未納者への納付指導などの防止策が功を奏して、前年よりも10%ほど少ない数字となりましたが、

依然として多額の滞納が発生していることには変わりありません。

企業が税金を滞納してしまう理由は、基本的には経営状況の悪化です。

会社の経営にはさまざまなコストがかかり、税金もその一つといえます。

金融機関からの借り入れなどで会社を回していたが、仕入れや人件費などで資金が無くなってしまい、

税金を納めることができなかったというケースもあります。

税金ごとに定められた納期限を過ぎると、自動的に滞納という扱いになり、延滞税というペナルティが

科されてしまいます。

延滞税は、『(納付すべき税額×延滞税率×期間(日数)÷365(日)』という計算式で求めることができます。

原則として、納期限の翌日から2カ月を経過する日までの期間は、延滞税率が年7.3%

(2014年1月1日以後の期間は、年『7.3%』と『特例基準割合+1%』のいずれか低い割合)となり、

2カ月を経過した日の翌日以降は年14.6%(2014年1月1日以後の期間は、『14.6%』と

『特例基準割合+7.3%』のいずれか低い割合)と高くなるので注意しましょう。


差し押さえまでにはいくつかのステップがある

   税金を滞納し、さらに延滞税も支払わない場合、資産の差し押さえが行われます。

しかし、すぐに差し押さえが行われるわけではなく、いくつかのステップを踏むことになります。

まずは、納付期限から1カ月ほどを目安として、会社に督促状が送られてきます。

督促状とは、支払期日と金額が明示された請求書です。

納税が難しい場合は、督促状に書かれた問い合わせ先に相談することで、分割納付の可能性など、

納付に関するアドバイスをもらうこともできます。

しかし、役所にも相談せずに、督促状を無視していると、次は税務署から電話などで催促の連絡が入ります。

場合によっては、再び追加の督促状が送られてくるケースや、会社に担当が直接訪ねてくるケースもあります。

それでも税金を納めないでいると、ついに最終段階として、身辺・財産調査の後、差し押さえが行われるのです。

原則として、税務署は督促状を送った日から10日を経過した日までに滞納している税金を完納しないときは、

差し押さえが行えることになっています。

滞納者においては、督促状の発送日から10日を経過した日以降は、いつでも差し押さえられてしまうという認識で

いなければいけません。

差し押さえが行われる際には、まず『差押予告通知書』が届き、銀行口座がある場合には、

預金の差し押さえが行われます。

口座に現金が残っていない場合には、生活を送るうえでの最低限の衣服、寝具、家具、食料などの

『差押禁止財産』を除いた資産の差し押さえが行われます。

また口座の預金に関しても、給与、退職金債権および社会保険制度に基づくこれらに類する給付に関しては、

差押禁止財産となります。

差し押さえられた資産は、公売にかけられ、その売値が滞納分に充てられます。

差し押さえは資産を失うほかにも、社会的な信用の失墜や、融資が受けづらくなるなどの

さまざまなデメリットがあります。

そのぶん、督促状などによる注意喚起が行われますし、督促状が届いてもすぐに役所などに相談すれば、

差し押さえに至ることは少ないといえます。

一方で、故意に税金を滞納したり、督促を無視したりする悪質な滞納者には、

容赦なく差し押さえが行われるばかりか、刑罰に処せられることもあります。

税金を支払う能力がありながらも、納税を免れようとすると、国税徴収法の滞納処分免脱罪が適用されるのです。

納税は国民の義務であり、会社を経営していくうえで必要なコストといえます。

税金が払えなくなりそうであれば早めに税務署や専門家に相談するなど、

日頃から滞納しないための策を講じておきましょう。

 

※本記事の記載内容は、2021年1月現在の法令・情報等に基づいています。

 

お困りのことはどんなことでも斎賀会計事務所までお気軽にご相談ください。

      

 事業者なら知っておくべき源泉徴収の流れと計算方法  2021-01-13

   

 企業は、従業員への給与や社外の報酬などの支払いに対して、源泉徴収を行う

義務があります。

従業員への給与やボーナスなどの支払いと、社外の取引先に対する報酬などの

支払いとでは計算方法が異なり、特に従業員に関しては、事前に提出してもらう

申告書の準備なども必要になります。

そのため、経理担当者はしっかりとそれぞれの手続きについて理解しておく必要があります

そこで今回は、会社が知っておくべき源泉徴収の大まかな流れと、計算方法を説明します。


源泉徴収は、従業員と社外の個人に対して行う
 
源泉徴収とは、特定の所得について、その所得の支払者が支払いの時に所得税額をあらかじめ徴収し、

国に納付することをいいます。

源泉徴収義務は個人への支払いに発生するもので、法人への支払いには発生しません。

社外の取引先であれば、弁護士や司法書士など特定の資格を持つ人に支払う報酬や、

個人に依頼した原稿料や講演料などを支払う際に、その都度、源泉徴収が必要になります。

一方、社内の従業員に関しては、給与や賞与、退職金などに対して、源泉徴収を行うことになります。

ただし、一定の金額以下の通勤手当や出張費、技術習得のために支給する費用などは源泉徴収を行う必要がありません。

これらの報酬や給与から源泉徴収した所得税は、原則として、支払いが発生した月の翌月10日までに、

所轄の税務署に納付しなければいけません。

それではここで、事業者が知っておくべき社内における源泉徴収の全体の流れを確認しましょう。

まず、従業員の源泉徴収について説明します。

1年の最初の給与を支払う前日までに、従業員に『扶養控除等(異動)申告書』を提出してもらいます。

この申告書をもとに所得税の扶養控除を適用します。

なお、所得税の対象となる『課税所得』は、給与総額から、通勤手当やさまざまな控除(社会保険料など)を引いた

残りの金額となります。

この課税所得に応じて定められている所得税を、事業者が毎月給与から源泉徴収し、翌月10日までに納付します。

しかし、源泉徴収は簡易的な計算方法で算出した仮の税額なので、1年の間に扶養が増えたり、

給与の増減があったりした場合、その額は変動します。

そのため、源泉徴収の額と、本来の課税額とズレが生じる可能性が高く、その過不足分の調整のために

『年末調整』を行います。

年末調整とは、その名の通り、毎年末に行われる所得税の過不足分を調整する作業のことで、

年末調整の結果、徴収額が不足していれば、年末調整の月の給与から不足分を差し引くことになりますし、

逆に徴収額が多ければ、還付を受けることになります。

ちなみに年末調整には、『扶養控除等(異動)申告書』のほか、

『基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書』や

『保険料控除申告書』など各種控除のための申告書が必要になります。

該当する従業員に提出してもらうのを忘れないようにしましょう。

そして、社外の取引先の源泉徴収についても説明します。

社外の取引先の報酬に関しては、報酬を支払うたびに定められた所得税を源泉徴収し、翌月10日までに納付します。

また、毎年1月にはその前年1年間に支払った報酬額と源泉徴収税額を記載した『支払調書』を取引先別に作成し、

税務署に提出します。

社外の取引先に関しては、通常、支払いを受けた本人が直接確定申告を行い、納税額の過不足を調整するため、

年末調整の必要はありません。

 
社内と社外で異なる計算方法

源泉徴収は社内と社外の支払いにより、計算方法も異なります。

社外への支払いは、相手が個人事業主になるので、基本的には

支払い金額×10.21%(所得税10%+東日本大震災の復興のための復興特別所得税0.21%)

の計算をもとに税額を算出し、税務署に納めます。

一方、従業員への支払いについての源泉徴収の計算は、先ほどの『課税所得』を求めた後、

国税庁の定めた『源泉徴収税額表』を参照し、算出した税額を税務署に納めます。

ボーナスなどの賞与に関しては、『賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表』を参照して、徴収額を確認しましょう。

いずれも国税庁のホームページで確認できますが、一般的には、自社内の会計ソフトなどで自動的に計算する会社が

ほとんどです。

計算と同時にデータとして保存もできるため、会計ソフトを使うことは有用です。

とはいえ、事業者としては、源泉徴収の仕組みや全体の流れなどは知っておいたほうがよいでしょう。

源泉徴収は従業員を雇用したり、個人事業主などに仕事を依頼したりするうえで避けて通れないものです。

税金を正しく納め、会社の会計をスムーズに行っていくという観点からも、間違いのないように理解しておきましょう。

※本記事の記載内容は、2020年12月現在の法令・情報等に基づいています。

 

お困りのことはどんなことでも斎賀会計事務所までお気軽にご相談ください。

      

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